梵天祭の説明
梵天とは?
神さまがお降りになられる依代(よりしろ)、幣束(へいそく)であり、祭場の徴章(神聖な場所を意味するもの)です。
町内や道中を祓い清める、神聖な祭具でもあります。
梵天の形
現在では、竹カゴを色どり豊かな布や錦で飾り付けたものが一般的で、ほうづき(頭の部分)、鉢巻、本体、中心の棒からなり、御幣・三角守り・飾りが付いています。
他にも御幣(ごへい)や稲穂・銭を下げた古くからの形のものや、折鶴などその団体を示す様々な形態のものが奉納されています。
元来は、御幣や小さな稲穂の形をしていたものが太平山頂上奥宮に奉納されていました。里宮(広面赤沼)が藩主より神社に寄進(慶応3年)されてからは、三吉信仰の高まりと奉納本数・拝観者の増加により、年を追う毎にまつりは華やかとなり、より神様や拝観者に目立つ現在の形となりました。
梵天の語源
ぼんでんの語源は、古語の「ほで」であり、「秀でる」という意味があります。神さまが降りる祭場を標示するため、高く茂った樹木や竿に御幣をつけて標示したことが由来とされます。(民俗学:柳田国男先生)
「ほで」がなまり、「ぼんで」「ぼんでん」と変化したと考えられます。
「梵天」という字が当てられたのは、後世の修験者によるものと思われます。
奉納の意義
山は古くから信仰の対象であるとともに、豊かな水や木材、澄んだ空気など自然の恵みをもたらす万物生成の源でもあります。また、修験道の「梵天」の神は、天地を創造し万物を成育する徳を持つ神とされます。
秋田市・河辺・南秋田・北秋田へと連なる太平山が、五穀豊穣の神が鎮まる霊山として崇敬を受けてきたことを考えあわすと、梵天奉納は年の始めに「五穀の豊穣」と様々な「産業の発展」、ひいては「家内安全」を祈ることが元々のおこりと考えられます。
さらに現在では、「商売繁盛」「社運隆昌」「安全祈願」などの企業梵天、「目標達成」「心身健康」「学業成就」祈願の福祉施設や学校・スポ少などの梵天など、年の始めに幸多い良き1年となるように、それぞれの願いと祈りをこめて梵天が奉納されています。
なぜ激しく競うの?
当社の御祭神(三吉霊神)は力の神・勝負の神です。その神にあやかり、競い合いが力強いほど、神意にかない、神力にも触れることが出来ると信じられてきたことから、よそよりも一段と激しい争いとなります。
また、
- 「梵天」という神霊の宿った神聖なものに触れることによって、自分の心と体をより強くしたいという触霊(しょくれい)の願い
- 新しい年のお祭で、1番初めにに新しい神の力にあやかりたいという心情。
- 梵天についている三角のお守り(神の霊力がこもると信仰される)を得ようと、観客までが揉み合いに参加するため、押し争いは更に激しいものとなる。
等々の理由により、「けんか梵天」と呼ばれる程の熱気と勇壮さに満ち溢れたお祭となるのです。